ロジカルシンキングってどうですか?


ロジカルシンキングつながり、ということで、今回からしばらく以下の雑誌の記事をネタにしたいと思います。

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー別冊 「超」MBAの思考法

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー別冊 「超」MBAの思考法

本書の白眉は、真ん中あたりにある「超ロジカル・シンキング講座」でしょう。ブレイク間近の思考法(?)について、わかりやすく解説しています。アフォーダンスアブダクションなどを選択するのはセンスいいと思います。佐藤先生はナラティブというよりフィールドリサーチといった方がよいと思いますが、ナラティブといった方がうけがいいのでしょう。

この特集を読んで興味深いのは内容だけではありません。すべてロジカルシンキングとの対比で書かれているところも非常に興味深く感じます。というのも、どれも似たような論調が見られるからです。少し引用してみましょう(他にも面白い指摘はあったのですが、一応一人1コメントの引用とさせていただきます)。

普遍的な論理に基づいて何かを作り出す、すなわちロジカル・シンキングが生み出すのは、言わば「機械」です。機械は「こうすれば、こうなる」という明示的で普遍的な手続きに従って、効率よく何かを作り出したり、実現したりします。(ブリコラージュとは何か、p109)

少々揶揄的な言い方かもしれませんが、ロジカル・シンキングだけで何かをまとめた場合、もしかすると10人中10人が同じような内容になってしまうかもしれません。(アフォーダンスとは何か、p115)

(ロジカル・シンキングは)だれもが使っているせいで、独自性が生まれにくいため、かえって成功確率を低下させかねません。(アブダクションとは何か、p119)

最近では、コンサルタントの基本スキルであるロジカル・シンキングやファクト・ベース分析などがあらためて重要視されているようです。(中略)ですが、標準化された論理、数字やデータなど一見無機質で色がついていないように思える情報も、実は個人のリテラシーや知識の程度によって、理解や解釈が異なってくるものです。(ナラティブとは何か、p124)


こうやって見ていくと、ここでロジカルシンキングについて述べた方は、次のような見解をもっていることがわかります。
ロジカルシンキングは、同じ問いであれば決まった答えしか出てこない。もしくは、決まった答えしか正答と認めない
ロジカルシンキングは直線的な思考であり、寄り道や多様性を認めない
ロジカルシンキングで生み出される答えは感情の入らない「冷たい」ものである


こうした見解は、決してこの特集で述べた方だけにとどまりません。私自身いろいろな書籍でも目にしてきました。従って、こうした見解を共通認識と捉えてしまってもよいのかもしれません。

しかし、私はあえて「それって本当?」と問いかけたいと思います。そして上記の見解はどのような前提をもとに生まれたのかを明らかにして、少しだけロジカルシンキングの弁護をしてみたいと思います。

ということで、次回に続くわけですが、諸般の事情により、次の更新は来週になる予定です。