最強の読書術(1)

数週間前に発刊された東洋経済の特集「最強の読書術」。遅らばせながら入手した。見所は6名の達人による読書術紹介だろう。6名分まとめて読むとなかなか迫力がある。と同時に、(当然だが)6名の読書術には違いが見られる。こうした違いはクリアにしておいた方があとあと役に立つだろう。ということで、簡単に比較をしてみた。

名前 本田直之 勝間和代 佐藤優 三輪裕範氏 齋藤学 池田信夫
月当たり読書量 100冊 50〜100冊 150〜200冊(熟読は5〜6冊) 8〜10冊 100冊以上 50冊
一日の読書時間 2時間+α 1〜5時間 6時間 2時間+α 4時間+α 3時間
読書の目的 先人の知恵と経験の理解 フレームワークの獲得 ?目的に沿って まとまった知識の獲得 人生観の獲得+情報入手 最新理論・情報の入手
ジャンル ビジネス書9割 ジャンル問わず ?ジャンル問わず ジャンル問わず ジャンル問わず 経済書中心
線引きする? Yes No Yes Yes Yes Yes
メモ取る? Yes No Yes Yes No Yes(ブログで代用)
再読する? Yes 多分No 熟読はYes No? Yes Yes
速読のスタンス 肯定的 肯定的 ものによる 否定的 否定的 肯定的

こうしてみると、特徴的なもとのして二点あげられる。一つは三輪氏の読書量の少なさと、勝間氏の線引き・メモ(再読)の拒否の姿勢だろう。おそらく三輪氏の読書量が他の5氏と比べて少ないのは、線引き・メモ取り(及びその活用)に多大の時間を割いているからだろう。従い、読書に関連した知的活動としては、他の5氏と遜色ない(個人的には凌駕するとさえ思っている)ものと判断してよい。

一方、ジャンルに言及していたのは本田氏(ビジネス書)と池田氏(洋書特に経済書)である。両氏になると、読書というものの目的は相当特化されたものになっていることが想像できる。同様のことは勝間氏にも言えることだが。

また、速読に対するスタンスにより、読書観が見えてくる。いわゆる「一冊の本からいかに学ぶか」「本と真正面から向き合う」というある種ノスタルジックな読書観を感じさせる三輪氏、齋藤氏に対して、「自分の役に立つ部分を情報として入手する」というある意味情報収集の一手段を洗練させている本田氏、勝間氏、池田氏、という図式だろうか(佐藤氏は両刀使い)。自分はどちらかといえば前者的なものに惹かれる方である。

共通点といえば、読書時間の多さだろう。最低2時間の読書時間確保というのは、達人たちがそのような仕事をしているから、ということを除いても(三輪氏は違うか)、相当努力しないと捻出できるものではない。まさに本田氏の言うとおり、

そうした人は、そもそも読書を「時間が余ったらするもの」と考えているから、いつまで経っても読書時間が確保できないのである。ならば、まずは毎日の生活の習慣と組み合わせて、読書を生活の一部に取り入れてみてはいかがだろうか


という考え方のシフトが必要なのだろう。


さて、三輪氏の言うとおり、こういうものは読書は「著者との対話」であり、意見をぶつけ合う場である。次エントリーでは各達人の読書術に意見をぶつけてみることにしよう。