ロジカルシンキングに対する私見

これまで長々とロジカルシンキングに対するコメントやそのコメントの前提に対してみてきましたが、「結局あんたはどう考えているの?」となりそうですので、そろそろ私見に移ります。といっても、あまりにあっさりしているかもしれません。

「ロジック」「論理」と言われると、頭に浮かぶものの一つが「論理学」。これは前回触れました。それ以外に、マスコミを中心によく使っている使い方が、もう一つあります。「・・・の論理」というやつ。「政治の論理」「業界の論理」「大学の論理」・・・。あげていけばきりがありません。

これもおそらく「論理」という意味自体はまっとうなので、何気なく使われているのでしょう。ここでの「論理」とは、「筋の通し方」を指すのでしょう。「政治の世界では・・・という考え方が筋が通っている」というようなものです。となると、形式論理での厳密性を求めるかどうかは置いておいて、こうした「ある前提をもとに筋の通った考え方」が論理でありロジックである、というのは概ね納得できる考え方なのでしょう。

となると、ロジカルシンキングとは「筋の通った考え方」となります。では、少なくともビジネスシーンで概ね当てはまる筋の通った考え方とはどのようなものか? これが、私のロジカルシンキングの定義になります。

で、ここからは完全に私見ですが、ここでの(ビジネスシーン全般であてはまる)「筋の通った」とは、「一貫性」と「関係性」が維持されたと読みます。前まで話していたことと一貫性がなければ、聞いている側は話についていけません。それから、AとBとの関係性が分からなければ、いろいろな事象をバラバラに捉えることになり、それはそれで大変になります。ということで、次のような定義を大胆にもしておきたいと思います。

 ロジカルシンキングとは、一貫性と関係性が維持された思考のことである

ここで一貫性はまあイメージできます。端的に言えば「この前言ったことと違うこと言っているじゃん」というのは一貫性がありません。私たちはあちこち筋を通そうとすると、言っていることが場面によって変わることがあります(政治家の答弁のようなものでしょうか)。これは一貫性に欠ける、つまりロジカルではない、ということです。

もう一つの関係性はいろいろありそうで、まだ個人的に整理できていません。現時点では、次の3つでしょうか。
・全体と部分:ビジネスで使う演繹的な推論は、ほぼ全体と部分の関係で説明できます。ということで、この関係性を押さえることは筋を通す意味で重要
・抽象と具体:これもビジネスシーンでは重要です。「具体的に話せ!」「もう少し個別事例でなく、他でも当てはまるような観点で説明してくれないか」こうした問いに対して求められるのは、具体的なものを抽象的なものにしたりその逆だったりします
・時間:時間的な前後関係というのも結構重要(だと思いますが、今は十分説明できません)

今、ロジカルシンキングと称して紹介される手法のほとんどは、上記の一貫性と関係性を維持するためのものです。これくらいだと、結構自由度はあるような気がしますが、果たしてどうでしょうか??