ロジカルシンキング=論理学?

前回の続き。どうやら、世間の風潮として、ロジカルシンキングと論理学はほぼ同義のように語られているようです。果たしてこれは妥当なのでしょうか?*1

論理学、いわゆる形式論理で使われている言葉が、ロジカルシンキングでもよく使われているのは事実です。三段論法もそうですし、よく引き合いに出される「アリストテレスから始まって・・・」というのも、伝統的な形式論理を意識したものでしょう。

ただ、形式論理を日常の推論でどの程度意識しているか、というのは別問題です。少しでも形式論理の世界を覗いてみたことのある方ならお分かりになりますが、形式論理の理解の第一歩は「記号化」です。記号化された論理式を真値かそうでないか判断するところから始まります。つまり、記号化して初めて妥当かどうかを判断できるような(しかも相当な訓練が必要)を日常の思考に活用するのはほぼ不可能でしょう。となると、ロジカルシンキングでは、形式論理のほんのさわりの部分だけしか活用していないことになります。

実際のところを見ても、確かに演繹・帰納を触れることはありますが、その推論方法を厳密にとって解説をしている書籍は見たことがありません。

こうしてみると、「ロジカルシンキングは形式論理をもとにした思考で・・・」という発想はやや無理があるように感じます。

となると、何をもって「ロジカル」と仰々しく銘打っているのか、という疑問が浮かんできます。人によっては「まあ、少しロジカルに見えるでしょ?」と感覚的な言い訳でとどめることもあるのでしょうが、それはロジカルシンキングに対する誤解を深刻なものにするだけのような気がします(そして、正直言えばそのような感覚的な説明しかできていないというのが個人的に感じる現状です)。

ということで、次回は「結局ロジカルシンキングのロジカルって何?」という本題に移りたいと思います。

*1:と書きましたが、必ずしも論理学と同義と捉えなくても、演繹・帰納ロジカルシンキングと捉えることはできます。それは議論の領域ですが、それはロジカルシンキングの活用範囲の一部なので、今回は割愛します