ロジカルシンキングにおける一貫性と関係性

http://d.hatena.ne.jp/ubukatamasaya/20100118:Title=1/18のエントリーで、ロジカルシンキングとは「一貫性と関係性を考慮した考え方」と述べたところ、「一貫性はわかるけど、関係性っていうのがなぜ入るのかわからない」というご意見をいただきました。ということで、前回のエントリーを少し修正しつつ、ロジカルシンキングでの一貫性と関係性についての私見を述べたいと思います。

まずは、一貫性とはどのような状態なのか? というところから入ります。いろいろな一貫性がありますが、日常を考えると、結構幅広いのではないでしょうか。
 「同じテーマについて話していたら、一貫性がとれている」
 「判断する基準に一貫性があったら、一貫性はあるよね」
 「目的から外れていなければ、一貫性はあるんじゃないの?」
といった具合でしょうか? では、ここで言う一貫性があるとかないとかは、どのように決まるのでしょうか?

一番厳密なのは、「まったく同じテーマ・基準・目的である」ということでしょうか。
 「去年営業成績上位3人が昇進した。だから、今年の昇進も営業成績上位3人が昇進する」
というのは一貫性がある考え方です。これが仮に
 「去年は営業成績で昇進を決めたけど、今年はどれだけ訪問したかで決めるか」
とか言うと、「おいおい」という一貫性に欠ける世界に行ってしまいます。

ただ、必ずしも同じテーマ・基準・目的ばかりで結論を出したりすることは難しいのが現実です。
 「やっぱり実績あげた奴は昇給額をあげよう。営業は成績一番の田中君ね。開発は・・・」
で止まってしまうと、開発は誰の昇給額をあげればよいか判断できません。そこで、開発の実績として開発した案件の数とか、売上貢献度とかを実績とみなすわけです。こうなると、実績の中には「営業成績」も入れば「開発案件数」も入ることがわかっていないと、このような判断はできません。もちろん、何がどの中に入るかどうかを決めるのは恣意的なものですが、他の人の同意が得られないと、「一貫性に欠けてるんじゃないの?」と思われることになるでしょう。

この「実績」という全体の中に「営業成績」が該当する、というのが大きく言えば関係性の話でしょうか。これはあくまでもざっくりとした例ですが、私たちの判断はこうした大まかな基準という「全体」にある項目が「部分」として該当するかどうかを考慮しながら判断を下し、結論付けている。そして、そのような思考スタイルを「一貫性がとれている」というのであれば、関係性というのはロジカルシンキングで考慮すべき主要要素になる。これが「ロジカルシンキングは関係性を・・・」という意図です。

と、例をあげていけば他の思考にも関係性がベースになっていることがわかるのではないでしょうか。

ここまでくると、前回エントリーでのロジカルシンキングの定義の言い方を少し変更する必要があります。

ロジカルシンキングとは、一貫性をもって出発点となる目的や事実から結論を導き出す思考のことである。そして、一貫性を保つために、個々の事実や考えを関係づけることができなければならない。なお、ここでの関係性は絶対的なものがあるわけでなく、その結論に影響を受ける人が納得できる範囲内のものであればよい。

長いですね。ということで、この辺りで終わりにします。

なお、何故かかなりマニアックなところまでたどりついてしまったついでに、また私見を。演繹とか帰納という推論形態があります。これがロジカルシンキングそのものと論じる方もいますが、この推論形態も、実は全体−部分の関係性をベースに組み立てられています(少なくとも日常で使う場合では)。このことについても機会があれば触れたいと思います。