日本辺境論

辺境人の最大の弱点は「私は辺境人であるがゆえに未熟であり、無知であり。それゆえ正しく導かれなければならない」という論理形式を手放せない点にあります。まさにこの論理形式が「学び」を起動させ、師弟関係を成立させ、「道」的プログラムの成功をもたらしたわけですが、「小成は大成を妨げる」という言葉のとおり、この成功体験が逆に、辺境人にとって絶対的な信の成立を妨げてもいる(日本辺境論、169ページ)

今年の新書大賞は「日本辺境論」。ということで、ランダムにこの一節を抜き出してみました。日本人のスタンダードを他に依存する性分は、それこそ宗教的な話からはじまって様々ありますが(他にあったっけ?)、本書では日本人の「辺境性」にその根源を求めています。

まあ私個人としてはその根源はどこにあるのかを追求する能力も意欲もないので、どれが正答でも構いません。こういう言説を見るたびに納得すると同時に、その意見に傾倒しすぎて逆にふれないように気をつけなければ、と自戒するのみです。

私たちは、「絶対的な信」を持っていないと指摘されると、逆にふれることが多いです。それが排外的な姿勢なのでしょう。ただ、スタンダードなき排外は、自らの思考を貧困にするだけだと考えています。

日本辺境論 (新潮新書)

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