職場の学びを促進するWPL-1

先週になりますが、3月4日にダイヤモンド社石山記念ホールにて、WPLファシリテーター養成講座の講師を担当しました。WPLとは、東大の中原淳准教授と神戸大の松尾睦教授が開発、ダイヤモンド社が提供する「職場での学び」を診断するツールです。不肖生方も、ワークショップ等の開発で少しばかりお手伝いをしました。

WPLについては、このページに詳しく載っていますので、ご興味のある方はこちらをご覧ください。ここに書かれているものとは少し違った視点で、このツールについての気づきをまとめたいと思います。

このツールは「診断システム」と称されていますが、個人的には少し違った印象を持っています。どちらかと言えば、「職場の学び促進ツール」と言ったほうがしっくりきます。その理由は二点です。

一つ目は診断項目です。この診断テストの項目は「職場での学び」にフォーカスされています。つまり、学ぶ人はどれだけ職場で学ぶことができているか、育成する側は職場でどれだけ学ぶことのできる環境を整えているか、がわかるということです。

これは、往々にして全人的な評価になりがちな診断テストと比べると特徴的でしょう。これは結構思い切った試みだと考えています。テストを作る立場に立つと、どうしてもその人の業績との相関がある程度出るように項目を設計してしまいがちです。結果的にこのテストの結果のよい人と業績に相関は出るでしょうが、あまり業績とのリンクにこだわらないで設計している点はなかなかできないことです。

また、「職場での学び」に特化しているため、その後の能力開発目的には非常に有益でしょう。それぞれの項目を改善すれば職場での学びが大きくなることになっている、というのは育成する立場からすると魅力的です。もちろん他のテストでも育成につなげるのは可能かもしれませんが、可変性に欠ける項目も少なくない中、個人の育成に威力を発揮しにくい面もあるでしょう。

先ほど「職場の学び促進ツール」と言ったほうがしっくりくると述べたのは、こうした点からです。逆にこの結果を使って人事施策を考えるのには、あまりフィットしないかもしれません。「この人は学べるから・・・」「この職場ではあまり学べていないから・・・」で考えられる施策は限定されますから。

じゃあ能力開発をより効果的にするためにどんなことをしているのか、については後日触れたいと思います。