地アタマを鍛える知的勉強法

自分が出題者になる勉強法を行うと、理解が急速に進みます。逆を言えば、受身で与えられた情報をこなしているだけでは、それ以上突き抜けられないからです。ひとたび自ら問題を作ろうとすると、まず全体を見通す力が必要になり、そこから本質を取り出す力が磨かれ、気づかぬうちに深く入り込んだ勉強ができてくると思います。(93ページ)

筆者は、自らが出題者になることに加え、図化することも理解促進に役立つとしている。この点についてはまったく同感だ。

ただ、その理由として、上記で引用した「全体を見通す力」や「本質を取り出す力」が磨かれるから理解が促進される、という点にはあまり同意できていない。

「教える」と「図化」に共通していることは、一旦自分なりに消化して、「自分の言葉」にして吐き出すことだ。そのアウトプットの過程でもっとも理解が促進されるのではないか。

これを「守・破・離」で考えると、「破」にあたる。まったく教えられたことの真似事でなく、自分なりの解釈を加えながら、教えられたことを破る。もちろん、そこには自信が必要になる。その自信を下支えするのが、突き詰めた理解になるのだろう。

さらに言えば、こうした理解促進に不可欠なものが、内発的な動機である。これまでの人材育成では「何を育成するか」「どうやって育成するか」という点に主眼が置かれていたが、今後は「内発的動機を生み出すにはどうすればよいか」にもっと焦点をあてる必要があるだろう。もちろん、今もそのような取組みがなされているが、個人的にはそれらの取組みは芝居がかりすぎていて、溶け込める人とそうでない人に分かれるような気がする(自分自身は後者に該当する)。


地アタマを鍛える知的勉強法 (講談社現代新書)

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