職場の学びを促進するWPL-3

前のエントリーで、WPLは「職場での学びを促進する仕組み」であると述べました。そこでは、診断項目及び診断結果の振り返りが職場での学びを促進するのに効果的であると述べました。

そうすると知りたくなるのが、「じゃあ何が学べるのか?」ということでしょう。今回はこのことについて考えていることをまとめていきます。なお、今回の内容は完全に私の個人的見解ですので、その点ご了承ください。

WPLは経験学習理論での考え方をいろいろと採用しています。そうなると、コルブのプロセスを踏襲するとどんなメリットがあるのか、ということになります。

コルブのプロセスは「経験」→「振り返り」→「持論化」→「新しい状況の適用」となっています。おそらく、WPLで目指すのは、「振り返り」→「持論化」をより効率的かつ効果的に行うということでしょう。ただ、個人的には「持論化」というのはそう簡単にはできないものと思いますので、持論に至るまでの材料を気づきとして得られるというのが重要なのではないかと考えます。

WPLでは振り返りの際に、診断結果を分析したり、診断結果をもとにしたアクション・プランを考えたりしますが、正直なところこうした分析やプランの内容そのもののクオリティが重要ではないと考えます。それ以上に、分析をしたり、プランを考えたりする過程で出てくる気づきが重要でしょう。つまり、WPLで得られるのは、自分の業務をもとにして「さらに自分が職場で学べるようになるための気づき」ということになります。

具体的に、どんな観点からの気づきが得られるのでしょうか? ざらっと列挙すると、こんなところでしょうか。
・無理やり枠にあてはめて見えてくるもの
・業務どっぷりから離れて俯瞰的に見えてくるもの
・他者からの指摘によって見えてくるもの
・文章化以外の作業を行うことによる刺激で見えてくるもの
などでしょう。要は、実務から離れると同時に普段体験しないという状況で得られる気づき(しかも自分の仕事にかなり近いもの)が、WPLで得ることができるものでしょう。

こうした気づきがどれだけ重要なのかについては人によって意見の分かれるところだとは思います。自分自身も「重要だがこれが自分の能力開発に必要なものすべてではないだろう」というのが正直なところです。ただ、希少価値は高いものだというのも事実です。この「希少価値」感をどのように判断するかが、WPLについて考えるときには必要な気がしています。

ついでに言えば、WPLのワークショップに参加することで、経験学習プロセスそのものを体験することができます。この体験がどれだけ重要かは、上述の気づき以上に人によって差が出そうな気もしますが・・・。