ことばの経済的価値

一つの言語の経済価値が、その話し手の数と相関関係をもつ(中略)。私がある言語を用いて意思を疎通できる人々の範囲が広ければ広いほど、非常に実際的な意味において、私にとってその言語の効用は大きくなる。(63ページ)

言葉にも相対的な価値があることを思い知らされた。もっとも言葉のもつ大きな価値の一つは、コミュニケーションの範囲。意思疎通できる人の数が多い言語ほど価値が高い。

そのような言語になる条件として、すぐに二つほど思いつく。一つはその言語を使う国家の力。半ば強制的にその言葉を使用させてしまえば、必然的にコミュニケーションの範囲は広がる。もう一つはその言葉の使いやすさ。人にとって、ある言葉から別の言葉へ使用言語を変更することはスイッチングコストがかかる。そのコストの大きなところは習得のしやすさだろう。それが少なければ利用者を広げることは可能だ。

ただ、現在前者は実現するのが難しい。後者はそもそも何が使いやすい言語なのか不明だ。まだまだ言葉の価値の追求は続く。

それにしても、本書はかなり面白かった。

ことばの経済学

ことばの経済学


いよいよ発売!