クリエイティブってなんだ?

創造力、クリエイティビティ。こうした言葉を聞いて、どんな印象を受けますか?
いろいろな答えがあると思いますが、ネガティブな印象は聞かれることはないでしょう。私もそう思っていました。この文章を読むまでは。

現代でも文章鍛錬の場でよく用いられる独創性への期待は、実はこの時期(昭和初期)に出現する。<個>としてものを考えるだけでなく、与えられた課題に対して他人はどのように考えるかということを計算に入れながら、凡庸さを回避していく能力が問われるようになる。「自我」が前景化するということは、同時に、その「自我」を際立たせる技法が求められるということであり、結果的に、横目で他者に目配りしながら自分を浮上させていくような文章表現術を普及させることにつながったのである。(「いい文章」ってなんだ?、98ページ)

独創性はオリジナリティで、創造力はクリエイティビティで少し意味は違うが、オリジナリティの源泉としてクリエイティビティは必要だろうという少々乱暴な展開で以下に進む。

上記は文章を書くときに絞られているが、当然アイデアを考える際にも同じことが言えるだろう。私たちは何かクリエイティブなアイデアを出そうとするときに、他人のことを気にしているのだ。言われてみれば、何かクリエイティブなことを考えようとしていいアイデアが浮かばない時は、たいてい「こんなこと誰でも考えることだ」と思ってしまう。アイデア自体が斬新かというよりも、他の人が思いつくかどうかをクリエイティビティの基準としているのだ。それに、創造性に関する本などのキャッチコピーは、たいてい「誰も思いつかないすごい考え」とかだ。これも、他者基準だ。

なんかクリエイティブというのが、かなり「ちんけ」なものに見えてきませんか? すごいことをしているようでいて、実は他人と違うことを考えたり言ったりしたりするという卑近な態度や姿勢がベースだったなんて。

でも、だからと言って、「クリエイティビティなんて意味がない!」と言うのもおかしい。人の真似ばかりしていては、何の発展もない。要は肩ひじ張らず他の人とは違うことを考えてみよう、というのがクリエイティブとの付き合い方なのかもしれない。



と収れんさせてもよいのだが、もう少し突っ込んで考えてもよさそうだ。個人的には、
・斬新なアイデアって、「他者が考え付かない」以外でどんな基準で捉えることができるのか?
・創造力を高めるために必要なものを細分化すると、どんな要素が出てくるか?
に興味がある。この点については、次回に続く。といっても、いつになるかは不明だが。



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