Solo Concert(Bremen)/Keith Jarret

Solo Concerts: Bremen & Lusanne

Solo Concerts: Bremen & Lusanne

祈念すべきキース・ジャレットの即興ソロピアノコンサート第一弾。1973年の作品という。いきなりこんな作品が出てきて、世の中さぞかし驚いただろう。今となっては違和感はあまりない?が。

現在の私たちのようにすでにケルンなどの作品に触れていればいざしらず、よくいきなりLP3枚組でこの作品を出そうと考えたものだ。ECMを仕切っているプロデューサー、マンフレッド・アインヒャーの慧眼と勇気には驚かされる。しかも、ブレーメンローザンヌの二か所で行われたコンサートが収録されている。売れるかどうかもわからない作品を2コンサートくっつけて売り出そうとしたことも驚きだ。

作品の流れとすれば、このブレーメンのコンサートは、前回紹介したブレゲンツと似たテイストの仕上がりだ。比較的明るい雰囲気で曲は展開される。途中(LP収録の関係上?)いきなり演奏がフェードアウトして、まったく別の演奏から再開される、という不思議な一幕もあるが、これは第一作だから仕方ないのだろう。

個人的には、このCDに収録されている演奏のうち、ブレーメンの方が好みである。ローザンヌも確かにすばらしいと思うが、その後のラ・スカラやウイーンなどに近い仕上がりで、完成度という点ではそれらの方が高いと感じられるからだ。何より、やや素朴な雰囲気で、キースが楽しみながら弾いているのが想像できるのがいい。

そして、最後のアンコールでは、キースの左手のマジックが展開される。まさに、左手に導かれるようにメロディーが紡ぎだされている。このアンコール(不思議なことに、Part2の一部として収録されているため、CDではアンコールのみを聞くことはできないが)を聞いていると幸せな気分になれる、そんな演奏だ。