クリエイティブ・シンキングを違った角度から見てみる

前のエントリーで紹介したThink!の特集は「クリエイティブ・シンキング」。中身を読んだわけではないが、キー・ワードとして出てきているのは、「既存の枠から脱する」「無知の知」「面白がる」「デザインする」「連想する」などだろうか。そして、当然のごとく「ロジカルシンキングから脱する」というフレーズが数名からあがる。

それはそれで有用だろう。ただ、冷静に見れば、それらは考え方や心構えのベースとしてはすでにあるものの言い換えをしている感もなきにしもない。

もう少し視点を変えて、クリエイティブ・シンキングについて捉えることはできないだろうか。例えば、こんなのはどうだろうか?(なお、以下に書くことは「あざとい」と感じられる方も多いと思いますので、その点ご承知おきください。)


まず、ここでの大前提から。



クリエイティブかどうかは相対的なもの

つまり、どんなアイデアでも、他にしょーもないアイデアしか出ていなければとたんにクリエイティブに見えるし、他にクリエイティブに見えるアイデアがあれば平凡に見える。同様に、そのアイデアを見る人が「クリエイティブじゃん」と思えばクリエイティブなアイデアになるし、「つまんない」「とんでもない」と思えば駄案になる。

このように、クリエイティブかどうかは相対的なものだ。特に「判断する人」次第というところは大きいだろう。その点から言えば、「クリエイティブなアイデア」は、「判断する人の琴線に触れたアイデア」と言い換えることもできる。


ということです。ここの勘所がつかめないと、十分クリエイティブ(とその場では言える)なアイデアでも、「いまいちかな」と逡巡してしまったり、逆にイマイチなアイデアでも「結構クリエイティブだよね」と一人合点してしまう。この勘所さえ押さえておけば、あなたのクリエイティビティは相当高まるはずだ。何も無知の知とか哲学に走らなくても、つまんないのに面白がらなくてもよい。「デザイン」などと難しいことを考えなくてもよいし、連想ごっこからも解放されるだろう。


では、この勘所をつかむにはどうすればよいか。これは、次の3つについて冷静に判断することに尽きる。

・他からどんなアイデアが出そうか
例えば、いろいろな人とブレストしている時、グループ面接をしている時、他の人からどんなクリエイティブなアイデアが出そうか? それがわかればあとは簡単だ。そういうアイデア以外のことを言えばよいのだ。

・オーディエンスが何を求めているか
とは言え、そのアイデアを評価する人(オーディエンス)がクリエイティブと感じなければ、他の人と違うことを言ってもだめだろう。上記の例でいえば、上司や面接官がどんなアイデアなら「おっ」と感じるのか。これを見極めておく必要がある。

・自分はどんな風に見られているのか
もう一つ大切なのは、自分はどんなタイプだと見られているのか、だ。よく「いろいろアイデアの出る人」と周りから見られている人がいる。こうした人は結構有利な立場にある。何をいっても「おお」と感心してもらえる場がすでにできあがっているからだ。そうでない人は少し辛い。あまり大胆なアイデアを出しても、すぐには「すごいね」と思ってもらえないだろう。かえって「いい加減なこと言いやがって」と思われるリスクもある。となると、第一印象で「クリエイティブっぽそう」と思われるように、そして日ごろから「もしかしたらこいつはクリエイティブなことを言いそうだ」と思われれるような行動や発言をしておくのがよい(ただし、あまり突飛なことをやると浮くので、それこそ周囲から少し違うと思わせるレベルに保つ必要はある)。


以上だ。この3つに注意しておけば、あなたの組織におけるクリエイティブ度、そしてあなたのアイデアのクリエイティブ度は相当高まるはずだ。