[コミュニケーション]コミュニケーション改善のために

これまで「理解の秘密」を題材に、コミュニケーションがうまくいかない理由を整理してきた。同書を見ると、コミュニケーションの改善について第七章〜第九章で述べているが、これが見事にコミュニケーションがうまくいかない理由とリンクしていない。というか、第六章や第十章で問題としてものの一部にしか改善策を提示していないのだ。


まずは、第七章であげている改善策を列挙してみよう(第八章はメッセージについての一般的な内容、第九章は見せ方に対するものなので、第六章であげた問題に対する処方箋は第七章のみといえる)。
・翻訳の技術をコミュニケーションに適用する
・メッセージの含まれる環境を説明する
・メッセージの形式でなく、その意図を中心に考える
・抽象的なコンセプトを具体的な記述に置き換える
・メッセージが損なわれずに相手に伝わっているか確認する
・質問の技術を磨く
・聴く力を身につける

ここであがった項目を、私が整理した受け手の状態という観点で対照すると、「納得・行動する気が起こらない」という部分に対する改善策がないことがわかる。また、「内容がわからない」という中でも、「情報過多」に対する処方箋もないことがわかる。ここら辺が充実するとよいものになるのではないだろうか。ということで、勝手ながら追加してみることにする。


まず、「聴く準備ができていない」という部分に対する改善策について。ここは環境整備が重要であることに加え、伝えようとしていることが受け手にとって重要であることを認識してもらう必要がある。そこで、追加として「伝える内容そのものの前に、その必要性を共有する」とかいうのが加わるとよいだろう。

次に、「聴いてもわからない」という部分については、前述のとおり「情報過多」に対するものを加えるとよいだろう(基本的な部分の欠如というのも必要かもしれないが、声高に言う必要もないだろう)。そこで、「伝えようとしていることを常に二割削減できないか模索する」というものを加えるとよいかもしれない。

三番目の「納得・行動する気が起こらない」は、いくつか追加する必要がある。まず「命令調」については、「受け手に選択の余地を残すような表現とする」としておく。次に「選択チャネル」については、「自分の伝えやすいチャネルでなく、相手が行動に移せるチャネルを選択する」とするのがよさそうだ。最後に、「人間の行動に対する配慮」もチャネル選択と同様に「自分の伝えやすい順序ではなく、相手の理解の手順に沿って説明する」とする。

最後に、「腹落ち」の部分は結構書かれているので、そのままでもよいだろう。


ということで、追加分も加えて整理しなおすと、次のようになる。
<聞く準備ができていない>
・メッセージの含まれる環境を説明する
・伝える内容そのものの前に、その必要性を共有する

<聞いてもわからない>
・翻訳の技術をコミュニケーションに適用する
・抽象的なコンセプトを具体的な記述に置き換える
・伝えようとしていることを常に二割削減できないか模索する

<納得・行動につながらない>
・メッセージの形式でなく、その意図を中心に考える
・受け手に選択の余地を残すような表現とする
・自分の伝えやすいチャネルでなく、相手が行動に移せるチャネルを選択する
・自分の伝えやすい順序ではなく、相手の理解の手順に沿って説明する

<腹落ちしない>
・メッセージが損なわれずに相手に伝わっているか確認する
・質問の技術を磨く
・聴く力を身につける


となったが、まだコインの裏返し的な改善策が多い。ここはもう少し具体化して、やるべき手順ベースで整理するとよさそうである。ということで、次回は今回の整理をもとに、やるべきことの具体化と手順ベースでの整理をしてみたい。