[思考術]「物語編集力」2

で、問題なのはこの考え方をどのように応用するかだ。私たちは常に本書にあるおうな物語を作っているわけではない。しかし、そのエッセンスは活用できそうである。

その一つとして、話を理解することがあげられる。ここでの理解は内容の理解に加えて、話をした意図の理解まで含まれる。つまり、話をしてきた真の狙いは何かを理解することまでである。

話を理解するためには、話を聞いて直接目に見えるところからさかのぼればよい。まず、話を聞いて目に見えるのは、
・キャラクター:主人公は誰か
・ストーリー:どのような流れで話は進んでいるか
・ナレーター:誰が話しているか
である。まずはこのような部分を俯瞰するだけでも、話の中身に引っ張られて変なバイアスがかかることを防ぐことができる。

例えば、キャラクターを見ることによってどのような視点で話をしようとしているのかがわかるし、ストーリーを見ることによって何を基準に話の順序づけをしているのかがわかる(話は必ずしも時系列で進まない)。さらにナレーターとその話との関係性を見ることによって、話自身がどのようにバイアスがかかりそうなのかを判断することができる。


次に見るべきは「シーン」である。ストーリーが把握できたら、時系列でそれらストーリーを並べ替えることは可能になる。時系列で並べると、より客観的な話が見えてくるだろう。そうすると、最後に見えてくるのが「ワールドモデル」である。ここで話の前提となる状況が見えてくる。つまり話をしている人がどのような前提や世界観をもっているかが見えてくる。


と、ここまで書きつつ、書いている内容にあまり自信がもてないのは、このような観点で人の話を聞いていないからだろう。また、そもそも「話を聞く」という短時間で上記のようなことができるのかもわからない。ただ、話の中身を表面的に捉えるだけでなく、その意図をつかもうとする、俯瞰的に話を聞くにはこのような観点が必要なのだろう。