デザインの原則

今私の中でブームとなっている概念が「デザイン」である。デザインといっても、芸術的な方面の話ではなく、機能的な方面でのデザインである。しかも、製品等目に見えるもののデザインというよりかは、頭の中で作り上げるものや頭の中をどのようにデザインするか、という点に興味を持っている。その点から見れば、以前のエントリーで触れた

理解の秘密―マジカル・インストラクション (BOOKS IN・FORM Special)

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などは自分の伝えたい内容のデザインという観点から非常に興味深い。もう一歩進んで、デザインそのものから見ると、

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

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になる。結局デザイン(設計という日本語がもっとも合致するように感じるが)とは、それを使う人に何らかの感情面・行動面でどのような変化を起こさせるか、ということに尽きるのだろう。「かっこいい」「美しい」「アートだ」という感情面での変化は、いわゆる芸術的な方向でのデザインがうまくいった例だろうし、誰もが同じように使えてメリットを享受できるというのは機能的な方向でのデザインがうまくいった例になるのだろう。

「誰のためのデザイン?」は認知心理学的な側面から、機能的方面のデザインで考えるべきポイントについて説明している。ここでまず指摘しているのが、「よいデザインの原則」である。それは4つあるとしている。


1.よい概念モデルを提供する
  ここでの「よい」とは作成者と使用者でのモデルが合致する、という意味であろう。どのようなものでも、人はそのものに対して何らかのメンタルモデルを有している。そのメンタルモデルから見てピンと来るデザインにならないと頓珍漢な使い方をしてしまうことになる。

2.ものを見えるようにする
  これは4とも関連するが、ブラックボックス化というのがもっとも気持ち悪い。自分がある製品をうまく使えているのか使えていないのか、うまく使えていない場合は何がいけないのか、自分はどの過程を今やっているのか。こうしたことがリアルタイムでわかることがその製品に対する信頼感にもつながる。

3.対応付けの原則
  ラジオのボリュームをあげるときに、レバーをさげる操作というのは「音量をあげる」という目的と対応していない。そうすると混乱する。というような当たり前のことが、様々な制約条件によってできないのが今の多くの製品である。人間が自然に感じる動かし方に対応させないと、いつまで経っても自然に製品を扱うことができない。

4.フィードバックの原則
  見ず知らずの製品を使う場合、目的どおりに使えているのかそうでないのか、うまくいっていない場合は何がおかしいのか、ということをアラームしてもらえないと途方にくれる。これは特に何かを組み立てて使う場合に重要になるだろう。例えば、PCの初期設定をしているとき、それぞれがうまくいっているのか分からずに、すべて終わったと思っても動かない、となると、どこからやりなおせばよいかわからなくなる。適切なタイミングで何度も後戻りしないですむためのフィードバックが必要である。


こうした原則を守ってよいデザインをするために何を心がければよいか、についても本書は触れているが、それは次のエントリーで。