聞く技術(4) 対応・応答

聞く技術もとうとう最後のパートに来た。話を聞いて、その対応によって話し手はちゃんと聞いたかどうか判断する。そのパターンとしては以下の本に4つほど書かれているが、私としては一つ表現を変えて、さらに一つ加えたいところだ。

ビジネスマンの「聞く技術」―コミュニケーションを変革する最重要スキルの磨き方

ビジネスマンの「聞く技術」―コミュニケーションを変革する最重要スキルの磨き方

対応・応答のパターン
1.質問型
  :話の内容及びコンテキストでわからない部分があれば、そこに質問するパターン
2.忠告型
  :発言を「発言者が抱えている問題」と捉え、その解決のためのアドバイスをするパターン。
   「何で○○しないの?」という質問もこのパターンに入る
3.共感型
  :話し手の感情面にフォーカスして、その感情に一定の理解を示すパターン
4.解釈型
  :発言を自分なりの言葉で置き換えるパターン。自分なりの言葉に置き換えることで、発言内容の理解の的確さをお互い検証することができる
5.発展型
  :発言内容を受けて、その内容が別のどんなことに関連しそうか、という見解を示すパターン

上掲書では1〜3に加えて「批判型」があった。しかし、このパターンはさすがに相当恣意的なものを感じる(これはだめ、という)ので、4で言い換えた次第。5については、結構仕事ではよく行われる。特に会議とかで立場の違う人が参加していると、いろいろなところから矢が飛んでくる、というのがあるが、これはまさに1と5が混在しているのだろう。


上掲書によれば、共感型がもっとも重要とのことだが、個人的にはどのパターンも重要に感じる。むしろ、どのような場面で使うかだろう。仮に気心のしれている部下の稚拙な報告を聞いたときには共感型をする必要はない。解釈をしたり発展させたりすることが重要だろう。一方、典型的に言われるのが女性の「お話」への男性の一般的な対応である。多くの場合結構問題がクリアになっているので、忠告型をしてしまうが、多くの女性は共感型の対応をしないと、「話を聞いていない」と感じる、という指摘はあちこちでされている。


結局のところ、「内容」「コンテキスト」「感情」を考慮しながら決定する、という一般論しかない。ただ、応答のフレーズがよかったか悪かったかを判断する基準はある。それは「次の展開に発展するものか。次の展開は話し手及び聞き手が満足するものか」ということである。その意味で、よくお薦めパターンとして提唱されるリフレージング(繰り返し)もよしあしである。ある意味、リフレージングはボールを相手に返しているだけのため、「より詳しく話そう」というマインドの醸成には役立つが、それだけである。すでに何か話そうと思っている人にとっては、回りくどい儀式に感じかねない。例えば、次のような場面に遭遇したことはないだろうか。

「○○に困っているんだ」
「そうか、困っているんだな」
「そう、困っているんだ」
「うん、困っているんだな」
「・・・」

これは、聞き手が何らかの質問をすることを話し手が暗に求めている場合に遭遇しがちである(とっかかりを提供してくれ、という心の叫びのようなものだ)。まあ、最初はリフレージングが無難だろうが、その反応を見ながら対応パターンとして何が適当かを考えておくことが必要なのだろう。