発想法(川喜田)−2
(日本人が)表札が思いつかれるのが、何枚かの「親近性のある」紙切れの一行見出しが、単に文字記号面だけの意味だけでなく、その意味の中心を取り巻いて、その周囲にモヤモヤと連想的雰囲気をたてているからである(141ページ)
以前も書いたが、本書の後半は日本人論になっている。学生の頃読んだときは退屈に感じたこのパートも、今読み返してみるとなかなか興味深い。今回の引用箇所のその一部。
上記引用箇所で述べている「連想的雰囲気」について、別のところでこう述べている。
(日本人の特徴として)息の短い直感的総合力と、それに伴う息の短い創造性、それでものごとが処理できないとたちまちにして模倣に転ずる(143ページ)
なるほど。日本人の一行見出しに見せる「きらめき」は、統合と創造の「息の短さ」によるものなのか。
裏返せば、ドイツを代表とする、立派な建造物のようなコンセプトの構築が苦手であることの証左なのだろう。
- 作者: 川喜田二郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1967/06/26
- メディア: 新書
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