ストーリー(物語)について考える(1)

ストーリーについて考える

少し先の話だが、Think!連載の六回目のテーマは「ストーリー」だ。ここでのストーリーの意味は「話の流れ」というもの。よくプレゼンで「ストーリーラインを考える」と表現することがあるが、それに近い。

もちろんストーリーという言葉は、別の意味でビジネスシーンで使われることも多い。その一つに、「ロジックだけでなくストーリーで」的な使い方がある。要は物語を語る要領で説明しなさい、ということですね。社会学関連では「ナラティブ」(発話)という概念と似たような違うような、という位置づけか。

もちろんプレゼンの時のストーリー的な使い方でもよいのだろうが、もう少し物語的なものにも触れてみたくて、いくつか関連する書籍を読んでみた。

物語編集力

物語編集力

ストーリーの心理学―法・文学・生をむすぶ

ストーリーの心理学―法・文学・生をむすぶ

私たちの中にある物語―人生のストーリーを書く意義と方法

私たちの中にある物語―人生のストーリーを書く意義と方法

センスメーキング イン オーガニゼーションズ

センスメーキング イン オーガニゼーションズ

これらの本から、「結局ストーリー(物語)とは何なんだよ」というのをしばらく考えてみたい。

まずは定義から、と言いたいところだが、定義をつらつら並べてもあまり面白くない。そこで、ストーリー(物語)を構成する要素としてどんなものがあるのかを比較してみたい。

1. 物語編集力

・ワールドモデル(舞台)
・キャラクター(登場人物)
・シーン(場面)
・プロット(話の展開)
・ナレーター(語り手)

ふーん、なるほどね、という感じ。確かにどれか一つ欠けても物語にはなりませんな。

次は「ストーリーの心理学」。ここではケネス・バーグのものが上がっている。
2.ストーリーの心理学

  ・認識可能な「状況」の下で(Setting)
  ・ある「目的」を達成するために(Goal)
  ・特定の「手段」を用いて(Means)
  ・ある「行為」を行う(Action)
  ・行動主体(Agent)
 以上の要素で不適合が起きた場合に、物語が始まる(Trouble)

状況や行動主体などはあるけど、前とかなり違うね。

最後は「私たちの中にある物語」。これはどんなものでしょう?
3.私たちの中にある物語

  ・メタファー
  ・シンボル
  ・元型
  ・パターン
  ・モチーフ
  ・反復

これは前の二つと全然違う。

といっても、どれが正しくてどれが間違っているということではない。おそらく、ストーリー(物語)を作り出す段階による違いなのだろう。それぞれ見ると、

1.物語編集力:より魅力的なストーリーを作るときに必要なもの
2.ストーリーの心理学:ストーリーが生まれるための条件
3.私たちの中にある物語:できあがったストーリーの表現の仕方

とでもなろうか。となると、よいストーリー(物語)を作るためには、「よい題材」があって、「その題材を魅力的なものに仕立て」、「印象深いものに表現する」という段階があり、それらの段階で上述したような要素を考慮しなければならない、ということなのだろう。


間もなく発売!