シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略

シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略

シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略

  • 作者: レイチェル・ボッツマン,ルー・ロジャース,小林弘人,関美和
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2010/12/16
  • メディア: ハードカバー
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先日「シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略」を読み終えた。
まずは読む前、「この表紙や装丁、どこかで見たことあるな」と思っていたら、ちょうど一年前に読んだ「フリー <無料>からお金を生みだす新戦略」と同じだということに気付く。監修が小林弘人で同じなのもいっしょだ。しかも、サブタイトルの「・・を生みだす新戦略」まで同じ。NHK出版恐るべし。

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

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中身については、タイトル通りモノやサービスをシェアすることによって成立するビジネスについて概観している。その前提となっているのは、使い捨てをできるだけ少なくするという思想のようだ。それは冒頭の記述を見ればすぐに気付く。つまり、単に新たなビジネスモデル(といっても、冷静に考えれば全然新しくないが・・・)の紹介本ではなく、消費過多が引き起こす環境問題への対処法を提言している書籍と捉える方が適切なのだろう。

本書を読み進めていくと、シェア・ビジネス(と仮に呼ばせてもらう)が実現するのに、ネット環境の整備がとても重要な役割を果たしていることに改めて気付かされる。シェア・ビジネスでもっともネックとなるのが、取引を成立させるための情報だ。世の中にはモノを譲りたい人もいれば、譲ってほしい人もいる。ただ、それが誰なのかがわからないのがビジネスになりにくい部分だった。昔は限られたコミュニティで譲り合いをするか(フリマがその代表)、貴重なもの(車とか)についてはある程度広いマーケットで取引をするしかなかった。こうした情報流通コストがネット環境の整備によって激減したことは、シェア・ビジネスには大きい。

こうした環境問題対策とネット環境の掛け算から生まれるシェア・ビジネスは、まさに時代の流れに沿ったものなのだろう。その証拠に、本書で様々な企業が紹介されているように、米国では雨後の竹の子のようにさまざまなビジネスが立ち上がっている(このうちの何パーセントが5年後生き残っているのだろうか??)。

あとは、こうしたビジネスが持続可能なのか、というところだ。例えば、家具なら供給される量はメーカーが製造する量より少ない。そして、回転率もそんなに高くないはずだ(中古家具を購入して翌年それを中古品として出品するなんてケースはまれだろう)。となると、市場規模自体はそれほど大きくならないし、供給面で頭打ちになりやすい。本当に市場として成立し続けるのかは微妙なところだ。つまり、供給量(出品したい人)が一段落したときに、この事業の持続可能性が見えてくるのではないか。

振り返ってみれば、我が家にもシェアしたいものはたくさんある。こうした流れ自体は非常に好ましいことなので、うまく軌道に乗ってもらいたいものだ。