データを丁寧に見る

考えを進めるにあたって、仮に手元にあるものだけでも丁寧にデータや情報、さらには考えを見ることは重要である。そのために必要な観点として「テーマ」と「特性」がある。

詳細は「シナリオ構想力」の第二章を参照していただくとして、概要だけ示せば、
・テーマ:そもそも何についてのテーマ・情報なのか
・特性:ある概念を説明するのにどのような要素があるか
という問いに答えるものと定義している。

例えば、「私は男性です」という事実は、「私について」の事実である。この「私について」というのが、テーマに該当する。一方、私について説明しようとしたら、性別だけでは不十分であろう。年齢や身長、体重、職業、趣味、住所・・・とさまざまな側面から説明しなければ、私は誰かよくわからない。このように「私」について説明するための要素を、本書では「特性」としている。

このようにデータなり情報なりのテーマと特性を押さえると、どのようなメリットがあるか。それは、実際の書籍等をもとに見ていくことにしたいが、このエントリーではこのような概念はどこから来たのかを簡単に触れたい。

「シナリオ構想力」の参考書籍にあるように、少なくとも「特性」という概念は、社会学の質的研究、特にグラウンディッド・セオリー・アプローチ(GTA)におけるプロパティの考え方を参考にしている。但し、厳密に考え方を移植するというより、ビジネスシーンでありがちな、「不完全なデータをより活用しやすくするためにどう応用できるか」という観点から簡素化している。

というバックグラウンドはあるものの、個人的にはずっと以前に、この考え方の効果を目の当たりにした経験がある。とはいえ、それはビジネスとはまったく無関係の、文学史の領域である。具体的には、加藤周一の「日本文学史序説」でのアプローチだ。この本を読んだとき、私は目の洗われる思いがした。

具体的には、以降のエントリーで。