データや情報のテーマを捉える

あまり自著に関連したネタばかりでもつまらないので、そろそろ他の書籍を題材にしていきたい。まずは、新版になった野矢茂樹氏の「論理トレーニング」あたりだろうか。

と思って読んでいたら、「シナリオ構想力」の内容とかぶる部分を見つけたので、まずはこちらから紹介したい。

論理トレーニングの第二章「接続の構造」では、文章がどのような関係になっているのかを接続に着目しながら分析する考え方が提示されている。具体的な手法等は実際に書籍を手にとってご覧いただきたいが、その際に行っている手法として、「シナリオ構想力」で述べている「テーマを捉える」ことが含まれている。

引用すると長くなるので(例題の文章とその解説の引用までしなければならなくなる・・)概要だけ説明するが、その中の例題2で、ある文の例示がどこかでかを判断するのに、個々の文の内容から一歩進み、「何について書かれているのか」を明らかにした上で例示の範囲を確定している。この部分だけ引用すると、ちょうどこんな表現をしている。

そう見ると、?と?では地図を描くことそれ自体について述べられ、?と?ではさらに進んで、どういう地図を描くかについて述べていることがわかるだろう。(36ページ、赤字着色は筆者)

こうしてみれば、文そのもので接続関係を判断するより容易でありかつ間違いがない。このようにテーマを捉えるということは、情報の「中身」を云々するのではなく、その中身が何を意味するのか、という点についてみることである。私たちはデータや情報を見るとその中身に目が行ってしまう。そうすると、中身の妥当性や中身に興味がもてるか、という点に頭が行ってしまう。それでは、そのデータや情報に流されてしまうことになる。

論理トレーニングでは文章の接続関係を把握する際に「テーマ」を活用していたが、他にも様々な場面でテーマを捉えた上で判断することが必要になる。具体的な場面等は「シナリオ構想力」をご覧いただきながら、応用していくことがよいのだろう。