コミュニケーションがうまくいかない理由(2)

前回のエントリーでは、「理解の秘密」を題材に、コミュニケーションがうまくいかない理由を「送り手」「受け手」「内容」「チャネル」「コンテキスト」で分類してみた。そこで見えてきたのは、<これらの要素の相互作用によってコミュニケーションはうまくいかない。従って、コミュニケーションの構成要素別に分類することは全体像を捉えるには効果的でない。ということだった。

そこで、「送り手=内容」と他の要素との関係から整理しようと思ったのだが、今回はそれとは別に「受け手の状況」という視点から整理してみることにした。コミュニケーションは結局受け手に対するギフトであり(自分に対するギフトにもなるのだが、直近としては)、そのギフトを受け手がどのように感じるか、という観点で見る、という意図である。

コミュニケーションがうまくいっていないときの受け手の状態は、以下のようになるだろう。
 ・聞く準備ができていない
 ・聞いても理解できない
 ・納得し、行動しようとする気が起こらない
 ・言われたことに腹落ちしていない


前回のエントリーであげた項目を、これらで整理すると、次のようになる。
【聞く準備ができていない】
 ・受け手が十分注意を払ってくれない
 ・適切な予告無しに、慣例から外れる
 ・時間が経過してわかりにくくなっている

【聞いても理解できない】
 ・インストラクションそのものがわかりにくい
 ・受け手が過剰な情報にはまりこみ、本当に知りたいことがわからない
 ・受け手の観点にあわせて翻訳できていない
 ・受け手の理解能力やニーズを考えていない
 ・メッセージが抽象的で、双方の解釈が食い違っている
 ・情報過多で趣旨が不明確
 ・言葉にベールが覆われていて、趣旨が隠れている
 ・重要な部分が欠落している
 ・関連情報がない
 ・自己矛盾している

【納得し、行動しようとする気が起こらない】
 ・インストラクションが狭く限定されていて、命令となっている
 ・インストラクションに人間の行動に対する配慮がない
 ・従うことを不必要なまでに強要する
 ・伝達手段の線楽が適切でないために、受け手を誤解させる
 ・親の反抗に似た反応を呼び起こしてしまう

【言われたことに腹落ちしていない】
 ・インストラクションの意図を明らかにするような質問ができない
 ・結果や成果を直接目で確かめられない
 ・実行させようと、検討外れの奨励をする


いくつか該当しないものもあるし、「聞いても理解できない」が多すぎるように感じるが、個人的にはこれで結構すっきりした。というのは、それぞれの中で何が問題なのかを構造化しやすくなったからである。それについては次回エントリーで触れる。