聞く技術(2) 聞き出し
前エントリーであげた三冊の本のうち、聞き出しについて結構書かれているのがこちらである。
- 作者: 福田健
- 出版社/メーカー: 角川SSコミュニケーションズ
- 発売日: 2008/01
- メディア: 新書
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というより、立場の違いによる聞き方のコツについて、聞き出しから対応まで書かれている。
上書は具体的である反面、「聞く」という行為についての全体像がないので、テクニカルな本と捉えられてしまうかもしれない(もう一つの新書は大上段に全体像を捉える、と言い切っていたが・・・)。
ということで、勝手ながらまとめてみると、聞き出しでは次のようなことが言えるのではないか。聞く技術といっても、「聞き出し」では自ら働きかけることが求められる。その働きかけの巧拙が重要なポイントとなる。働きかけの際に注意すべきポイントは、前エントリーでもあげた次の3つだろう。
1.内容の的確さ
2.相手の感情
3.コンテキスト
これらは、掛け算的なつくりになっている。つまり、3つのうち一つでも考慮がゼロだったら聞き出しは確実に失敗する、ということだ。ただ、これら3つのポイントをまったく押さえていないということはありえないので、「よりよく」これらのポイントを押さえる基準があるとよい。
と言いつつ、これらのポイントのよしあしを決めるのは、特にコンテキストとの関係になるだろう。聞き出すタイミングでどのような状況にあるのか、を聞き出す側と聞き出される側の認識が一致していることが望ましい。
たとえば、慇懃にかつ尊敬語を過不足なく使って聞き出そうとしても、普段から付き合いのある上司部下の関係だったら逆効果である。「フランクに話してよい」というコンテキストが聞き出される側にはあるからだ。この部分の認識がずれているといくら工夫をしても意味のないものになる。中身についてもそうだ。すでに相当の教育を行っている先輩に、「まったくわかりませんからゼロから教えてください」という聞き出し方をしようものなら大変なことになる。両者でどの程度まで理解できているか(聞き出される側は希望も含む)の共有ができていないとまずい。
となると、コンテキスト(特に相手が期待しているレベルの)の理解が聞き出しにもっとも必要であることがわかる。ここまで「コンテキスト」と一まとめにしてきたが、具体的に言うと、
・聞き出される側との人間関係の構築度合い(初対面? 腹を割って話し合える程度?)
・聞き出したいことがどのような経緯を経ているか(話し始めたばかり? かなり練りこまれている?)
・聞き出される側の状況(忙しさ、感情・・・)
などが該当する。聞き出そうとする際には、まずこの点を考慮しておくことが必要だろう。
具体的な聞き出し方としては、上書では
・質問
・待つ
の二つが提示されている。まあそれしかないのであるが・・・。質問はいろいろな質問をするのではなく、鍵となる内容が判明した時点で絞り込む。待つのは時間が重要なのでなく、聞き出される側の理解及び感情面での準備が整ったかどうかで判断する。という二点は重要なポイントだろう。