パフォーマンスコンサルティング2解読(3) 原因を解明する
第5章では原因と解決策、そしてそのまとめが記されている。一章でこれだけのことをまとめるのだから、あるべき姿や現状と比べると原因と解決策のパーツは割合的に少ないのだろう。しかし、ここでは逆に、原因と解決策は分けてみていくことにする。
すでに述べたように、PCでの原因は「外部環境」「組織の内部要因」「個人の内的要因」の3つに大別することになっている。そして、それぞれいくつかの要素に細分化される。例えば、「組織の内部要因」は次のような具合だ。
・役割や期待のわかりやすさ
・コーチングや強化
・インセンティブ
・業務システム/プロセス
・業務に必要な資源のアクセス
個人的には、このようにあらかじめ原因となりそうなものをあげておくのはとても有意義だと思う。それ以外の原因を探り当てても対応するソリューションがなければお手上げなのだから。その意味で、書籍でこのように言い切れるレベルの原因が洗い出されたのは、著者の経験のなせるわざなのだろう(一方で、原因を追究するというモードが失われる懸念があるのは、前のエントリーで触れたとおりだが)。
こうして原因候補をあげておいて、アンケート結果やインタビューから原因となるものを特定していく。ここは結構難しいところだろう。本書でも演習としてアンケート項目と対応する原因候補をマッチングさせるものがあったが、悩ましいものがいくつかあった。こういったところはもう少し丁寧に解説できると理想的なのだが、なかなか難しいのだろう。
原因のところでもう一つ注目したいのが、「原因」と「現象」を識別しなさい、というところ。ここで「原因」と「現象」と二分してしまうと、「原因候補自体、まだ現象にすぎないのでは?」とかいう粘着質な突っ込みがでてきそうだが、それは今回触れない。結局は、解明したい原因とはアクションを想定できるかにかかっているのであり、アクションが導き出せるような原因であればよいのだ。
それはそうと、ここで「現象」と著者が指摘しているものは示唆深い。「時間がない」「やる気がない」「対立している」といったものは、すべて現象なのだそうだ。こうした言葉を聞くとそれ以上追及できずにうやむやになることが結構あるが、そこは腹を据えて突き詰めることが必要なのだ、という勇気を与えてくれる。
ということで、今回はやや短めだけど、おしまい。次回はソリューションへ進む。
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