パフォーマンスコンサルティング2解読(4)解決策を明らかにする

今回は解決策について。なかなかこういうテーマで解決策を導き出す「考え方」レベルではなく、どのような解決策が提案できるかまで書いてしまう本はあまり見かけない。その意味では、初版同様、踏み込んだ一冊と言えよう。

とは言え、お国柄の違いなのかなんなのか、解決策自体は結構安直に感じるものも多い。例えば、原因が外部環境の場合にもご丁寧に解決策をあげているが、このあたりは「このような外部環境の変化に対応していないのはなぜ?」ともう一段掘り下げてみれば、結構有効な解決策につながるような気がする。

ただ、重要な示唆として、PCが提案する範囲から見ると、「人材開発」というソリューションはごく一部にすぎないということは言える。他にも、(ざっくりまとめると)次のような提案をする可能性もあることを視野に入れておかなければならない。

・職務や期待成果等の明確化、優先順位づけ
・ビジョン・ミッション・戦略等の浸透
・業務プロセス、職務、HRシステム等の仕組みの再設計・再定義
・必要な資源の調達
・従業員への意識づけ

裏を返せば、本書の140〜144ページに書かれているソリューションも、これら6つ(人材開発も含めて)のどれか(もしくはいくつかの組み合わせ)で対応可能なのだから、この辺りを視野に入れておけばよいことがわかる。

最後に、解決策の選択基準が紹介されている。これもいくつか興味深いものがあるので列挙してみよう。

・適切性
・経済性
・実現可能性
・組織の受容性
・個人の受容性

最後の二つなどはいかにもPC的だ。

ここまでで、ソリューションは導き出せた。ここまではなんだかんだいっても、パフォーマンス・コンサルタントが中心となってやって、そこで完結することだ。本書の重要なところは、こうして導き出したソリューションをいかにクライアントに納得させて実現に結び付けるか、ということ。それが以降で詳述されている。まさに本書で表現しているように「匠」の世界だ。