パフォーマンスコンサルティング2解読(6)信頼関係の構築

いよいよPCの「匠」の世界に入っていくことになる。まずは「信頼関係」の構築だ。「信頼関係の構築は大事」という記述はよく見かけるが、それは当たり前の世界だ。信頼関係の築き方がわからない人にとって重要なのは、「どうやって信頼関係を築くか」だ。それを本書でははっきりと示している。

具体的にはACTフレームワークだ。
 A:接点(Access
 C:信用(Credibility)
 T:信頼(Trust)

日本語に直すと(直さなくても?)信用と信頼の区別は言葉だけではよくわからないが、本書を読むとイメージできる(かな?)。

それぞれ見ていこう。

1. 接点(Access
顧客との接点を得る前に重要なのは、信頼関係を得るに値する相手かを見極めるということだ。確かに、いくら緊密な信頼関係を築いてもその後の展開がなければ意味がない。その基準として、本書では、
  ・課題に対する当事者であること
  ・課題を解決する権限を有していること
  ・課題に取り組む際の指揮命令系統を有していること
とある。二番目と三番目は同じような気もするが、そこは米国のように権限と指揮命令系統が切り分けられているか否かなのだろう(と推測)。ちなみに、この基準は、第1章でも紹介されていた。ライト・パーソンを特定することの重要さがわかる。

ライト・パーソンを見極めたら、接点を得ることになる。そのための手段として以下をあげている。
  ・話し合いの機会をとってもらう
  ・成功事例を宣伝する
  ・関連情報を入手し、クライアントへ送付する
  ・スタッフ会議へ参加する
  ・人脈を活用する
率直な感想としては、「うーん」とうなるしかない。ここに書かれたのはあくまで社内のパフォーマンス・コンサルタントに有効なものであり、社外のコンサルタントには結構厳しいものと言わざるを得ない。277ページには、「接点を得て、信用と信頼を深めていくという手法は、外部コンサルタントにもあてはまる」としているが、ここはちょっと同意しかねる。

2.信用(Credibility)
本書を読むと、信用というのは「その能力は信頼するに足る」という意味だ。つまり、コンサルタントとして依頼して能力不足で「あちゃー」とならない、ということだ。となると、必要なのはPC関連の知識・スキルとなろう。それを本書では「事業に関する知識」と「HR関連に関する知識」に分けている。このあたりは、コンサルタントとしては持っておかなければならないことなので、あえて付け加える必要もなさそうだ。

3.信頼(Trust)
信用とは違って、信頼はいわゆる「人間的な安心感」。「こいつはちょっと・・・」と思われない。いや、それじゃまずい。「この人なら大丈夫だ」と思ってもらえるかどうか、ということだ。
まあ、このあたりはああだこうだ言うべきところではなさそうなので、こっそりとスルーさせていただく。

と細部を見ると、やや「?」と思える部分もあるが、ACTモデルのように信頼関係を築くためのフレームワークが示されている点は素晴らしいと言えよう。