なぜ直観のほうが上手くいくのか?

なぜ直感のほうが上手くいくのか? - 「無意識の知性」が決めている

なぜ直感のほうが上手くいくのか? - 「無意識の知性」が決めている

本書での「直観」とは、「ヒューリスティックス」のことですね。「勘」というより、人間が自然にする判断の近道のことです。そして、「ヒューリスティックス万歳」というのが、ざっくりした本書での主張でしょうか。

題材は面白い。名前くらいしか知らない人の方が、少々の予備知識をもっている人より正しい判断をすることができる、という例が満載だ。このあたりの事例は面白い。

そして、「ヒューリスティックスの弊害」の例として名高い、「リンダ問題」に対して異議を唱えている。ただ、個人的には「異議」というより「難癖」のようにしか見えないのだが。こんな難癖をつけるのなら、著者があげているヒューリスティックスが優れているとする例にも同じような難癖がつけられるような気がする(詳しくは機会があれば)。

それ以上に本書でいうべきは、「不完全な情報下でも、ヒューリスティックスをうまく活用すれば、より精度の高い結論にたどりつくことができる。」ということではないか。わざわざ、「豊富(だけど不完全な)情報」vs「ヒューリスティックス」で対決させて、どっちが優れているか、などということはどうでもよいのだ。本書の解説で触れているハーバード・サイモンが言うように、私たちはしょせん限定された合理性の中でしか判断できないのであり、「情報が豊富=合理的な判断ができるだけの情報がそろっている」という世界は望むことができないのだから。

ということで、本日はスムーズに?宣伝に移行できる! 不完全な情報でも私たちは分析し、仮説を立てなければなりません。そのためのコツをまとめた一冊、あと二日で発売です!