コミュニケーションの全体像

今読んでいるのが、「理解の秘密−マジカル・インストラクション」という本。

理解の秘密―マジカル・インストラクション (BOOKS IN・FORM Special)

理解の秘密―マジカル・インストラクション (BOOKS IN・FORM Special)

インストラクションの本かと思っていたら、コミュニケーションの本であった。本書を読んでいると、コミュニケーションの全体像がまず思い浮かぶ。


コミュニケーションのプロセスというと、デヴィートゥのモデルがあげられる。このモデルは日本では下記書籍により参照することが可能である。

インターパーソナル・コミュニケーション: 対人コミュニケーションの心理学

インターパーソナル・コミュニケーション: 対人コミュニケーションの心理学


「理解の秘密」の構成に従うと、コミュニケーション(本書では「インストラクション」と呼ぶが)は5つの要素から構成されている。
 1.送り手:自分の意見を発する人
 2.受け手:その意見を受け取る人
 3.チャネル:意見が伝わる形態
 4.内容:意見の内容そのもの
 5.コンテキスト:意見を伝える際の背景
まあ、ここにフィードバックとか入らないのか、という突っ込みはしないこととして、このようなモデルを見るたびに、コミュニケーションとは送り手と受け手との共同作業であることを痛感し、特にプライベートでの至らなさに赤面するのだが・・。

ここで、コンテキストについては若干補足が必要だろう。コンテキストとはどのような状況でどのような流れでコミュニケーションをするに至ったか、ということである。そこには空間的・時間的な幅がある。空間的とは背景として捉える対象をどこまでにするか(誰までを考慮するか)ということ、時間的とはいつごろから、そしていつごろまでのことを考慮するか、ということである。要は、コンテキストが共有されていないときには、こんな発言が後から出てくることになる。「俺は○○のことまで考えて言っているんだぞ。お前はそこまで考えていたか?」(○○には人などの空間的なものが入ったり、時間軸的なものが入ったりする)。この発言は、発言者の考えの深さを示すというよりも、コンテキストがいかに共有されていないか、を示すものと見たほうがいいだろう。


「理解の秘密」では、こうしたコミュニケーションの全体像を提示した上で、なぜコミュニケーションがうまくとれないのか、コミュニケーションをうまくとるにはどうすればよいかを解説している。次のエントリー以降で本書で述べられている問題と解決法を見ていきたい。